- 民事裁判:おそらく第2回以降の口頭弁論
- 争点:亡くなった父の遺言書(いごんしょ)は有効か否か
民事裁判の傍聴は一般におもしろくないと言われています。
書類の提出を通じて陳述・答弁・弁論を代替するのが慣例だからです。つまり傍聴席側からは「甲1号証、甲2号証……」「乙1号証、乙2号証……」などと名付けられた証拠を実際に見るわけでもなく、なにがなにやらわからないまま10分で閉廷なんてことがザラにあるからです。
ところが本件は開廷表を見ると「13時~16時」と書いてありました。長いです。気になって途中からですが傍聴しました。傍聴席には家族と思われる男性1人しかおらず、「誰やねんお前」と刺すような視線を向けられましたね……。
- 妹に偏った遺産分割
父の遺言書にはこう書かれていました。
- 死亡保険金は姉妹で半分ずつに
- 姉に預金100万円を
- 残りすべて(残った預金や車、マンションなど)を妹に
以上のように、かなり妹に有利な内容となっており、姉が原告となって遺言書の無効を訴えた形です。
- なぜ次女に多くを遺したか
まず、父と長女との関係が劣悪であったことを次女は知っていました。父から直接「あいつにはやらん」といった言葉を聞いたそうです。
そして次女の息子(つまり孫)を大変可愛がっており、孫の私立中学、果ては大学進学までの費用を与えるために遺言書を作成したそうです。
しかし死人に口無し。遺言書のフォーマットは次女の夫がネットで検索して用意したこと、父自身が封緘していなかったことなどにより、次女による偽造も十分考えられるケースとなっていました。
- 他人のごたごたは面白い
他に聴きたい裁判があったために途中から退出したのですが、この裁判は当日傍聴した中でもっともおもしろかったです(※おもしろがっちゃダメ)
証言台に座る次女に詰め寄り、証拠を見せながら質問する原告側弁護人。ピリピリしたムードの中、息を呑むやり取り。「答えになってない」「それはもういいので」と容赦のない発言……。
証拠には録音データなどもあり、姉妹の間に広がる深い亀裂を想起するものでした。
この裁判で、傍聴の醍醐味を存分に感じ取りました。