発傍聴席、宛インターネットの深海

良心に従って、真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います。(法廷での宣誓文より)

大阪ミナミの半グレ集団「アビス」のメンバーらによる凶行(強盗致傷)

(※本件は実名報道されているため、被告の氏名を記載します。報道は以下の通り)

https://www.sankei.com/affairs/news/191027/afr1910270008-n1.html

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阪高等・地方・簡易裁判所
  • 半グレ集団とはなにか?アビスの実態は? 

暴力団に属さないが、実際は暴力団と変わりなく、非合法なビジネスを行っている組織のことです。(ぼったくりバー、振り込め詐欺、暴行や恐喝、そして強盗など)

長年グレーな存在でしたが、その人員の拡大や犯罪の横行に手を焼いた警察庁は彼らを暴力団として指定し、大規模な摘発に乗り出しています。

私はNHKの特集で半グレ集団の取材を観ましたが、なんだか「俺たちテレビに映ってる!」と思えるような言動で、明らかに暴力団とは異質な存在だなと感じました。

しかし、アビスは別です。彼らは任侠山口組に上納金を支払っていました。規制の著しい暴力団が半グレを利用してシノギとしていたということになります。構成員が若いことを除いては、ピラミッド型の組織構成を取るなど、ほぼ暴力団に近い存在として大阪ミナミに君臨していました。

  • 悪質な犯行の内容

強盗を提案したのは江見被告(以下、江見とする)です。2019年9月2日の夜、福田被告と辻本被告(以下、福田、辻元とする)らを引き連れた江見は帰宅途中であった26歳の女性に狙いを定めました。

辻元が背後から被害女性の首を締めて失神させ、福田は腹部を殴るなどの暴行を加え、女性から現金5000円入りのバッグ(時価総額5万円)を奪いました。(強盗致傷)

  • 江見の過去、そして逃走

江見は少年の時から万引きや建造物侵入などを犯し、ついには詐欺の受け子を行うようになり少年院送致となりました。少年院を出た彼はアビスのメンバーとなります。

介護士である交際相手と同居しており、結婚を視野にも入れていました。しかし事件を境に二人の運命は狂います。事件後、江見は彼女に逃走を手助けするよう頼みました。(犯人隠避教唆)受け入れた彼女は、実家のある神奈川県へ一緒に向かい、彼を匿いました。(犯人蔵匿教唆、そして女は犯人蔵匿の故意犯となり、同容疑で逮捕されています)

  • 被害女性のその後

彼女は受けた暴行のために全治5日のケガを負い、やむなく住んでいたマンションから引っ越しをしました。現在も日常生活ができない状態です。

  • 判決に至る理由

上記のように犯行態様が極めて悪質である上に、3人はマスクをつけて現場付近を一時間近くうろつくなど、一定の計画性があります。また、被害女性は示談に応じず、処罰感情が非常に強いです。

一方で、3人は被害総額と引越し費用の弁償として合わせて40万円を支払っており、3人の雇用主(おそらくアビスの関係者と思われる)は今後の雇用を保証している上、被告人らの親、そして交際相手の女が情状証人として出廷し、今後の監督を約束しています。

  • 言い渡された主文

江見に対して懲役3年8ヶ月(未決勾留日数140日算入)、福田、辻元両名には懲役3年6ヶ月(福田は未決勾留日数140日を、辻元には同70日算入)となりました。

執行猶予のつかない実刑判決です。江見は保釈されていましたが、今後は刑務所で過ごすこととなります。

  • 背筋の凍ったその後

閉廷後、私はエレベーターで若い男2人と居合わせました。ひとりはスマホで誰かと連絡をとっています。「○○(下の名前)が3年8ヶ月で○○と○○は3年6ヶ月……」

そう、傍聴席にはアビスのメンバーがいたのです。

エレベーターの扉が開くまで冷や汗が止まりませんでした。