発傍聴席、宛インターネットの深海

良心に従って、真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います。(法廷での宣誓文より)

近所の騒音問題で危うく傷害沙汰に(暴力行為等処罰法、銃刀法違反)

  • 事件の概要 

自宅にて大声で奇声を発していた被告人の男(50代)に対し、近隣住民が注意に赴いたところ逆上し、逃げる被害者をカッターナイフを持ち出して追跡。東住吉区の路上でカッターナイフを突きつけ「お前らがうるさいんや」などと威嚇、駆けつけた警察官に対してもカッターナイフを振り回して威嚇するも説得に応じてカッターナイフを置き、その場で現行犯逮捕となった事件です。

  • 前科6犯の被告人

勾留中の被告人は半袖半パンといった出で立ち、ロマンスグレーの髪はくせっ毛なようで、ガリガリに痩せていました。とても凶悪な人物だとは思えません。

しかし、彼は2件の銃刀法違反で共に罰金刑、他人の家のポストに悪口を投函した迷惑防止条例違反、邸宅侵入(刑法第130条、住居侵入罪)など、前科6犯を有しています。

市場にて野菜を取り扱う仕事に従事しており、基本的に夜勤。朝7時に就寝する生活を送っていました。そのためか、普段から聞こえてくる犬の鳴き声や中年女性の声が気になっていたそうで、性格的にも音に敏感である、と供述しています。

ほぼ毎日宅飲みをしていて「3階の人だまれ!」などといった奇声を日常的に繰り返していたという付近住民の証言があります。

独身で、身近に相談できる相手がいなかったことが今回の事件の引き金となりました。

  • 注意にやってきた住民に逆ギレ

事件当日、被告人はビール500ml・日本酒180ml×3と相当飲んでおり、いつものように奇声を上げていました。

これまでは窓から顔を出して注意していた被害者もさすがに立腹し、直接注意に。

「おっちゃんうるさいよ」と言ったところ、被告人は仕事用のカッターナイフを持ち出し、これに驚いた被害者を追いかけます。カッターナイフを振り回し、最後には突きつけ、「お前らがうるさいんや」と発言。そこで通報を受けた警察官が駆けつけました。

ところが被告人はカッターナイフの刃を出し入れして警察官をも威嚇。警官はなんとか説得してカッターナイフを地面に置かせ、それを警棒で弾き飛ばした後、現行犯逮捕しました。

  • 被告人の反省

「大変なことをしてしまった。被害者に申し訳ない」

被告人はかなり具体的に今後について語りました。自助団体などを頼って断酒する。他の趣味を見つけてストレス発散する。住んでいたマンションは引き払う。できるなら弁償したい、など。

  • 論告求刑、最終弁論

検察側は被害者の処罰感情が強いことに加え、前科前歴からも常習性があることを主張。懲役1年6ヶ月を求刑しました。

対して、弁護側は計画性がなく傷害の企図が無かったこと、犯行を自主的に止め、聴取に素直に応じており、反省していることなどを述べ、寛大な処分を求めました。

  • 判決

懲役1年6ヶ月(未決勾留日数20日を算入)執行猶予3年となりました。また、犯行に使用されたカッターナイフは没収されました。

理由として、銃刀法違反については正当な理由なく路上でカッターナイフを所持していたこと、犯行については短絡的で粗暴かつ悪質であり酌量の余地はない。しかしながら、被告人は反省しており「あやまりたい」と述べており、禁酒を誓っていることを挙げました。

 

騒音がきっかけで起きた事件の極致としては1974年の「ピアノ騒音殺人事件」を想起しますね。犯人は2020年現在、最高齢の死刑囚となっています。

ご近所トラブルが様々な犯罪の温床となっていることは私自身も気をつけたいなと考えた一件でした。