今日もまた、傍聴席に座っている。

雑記ブログですが、主に裁判傍聴記・事件現場取材を書いています。

78歳のおばあちゃんの胸をわしづかみした男(強制わいせつ)

  • 刑事裁判:大阪地方裁判所、第12刑事部1係、新件~判決
  • 罪名および罰条:強制わいせつ(刑法176条)
  • 3人もの通行中の女性を狙って 

八尾市のトラック運転手の男(51)は第一事件として、2020年7月5日午前4時ごろ、通行中の女性A(78)の乳房を着衣の上からわしづかみにした。Aさんは「散歩がこわくなった」という。

また、同月26日午前5時ごろ、通行中の女性B(23)を見つけ、「40代くらいで自身の好みより若い」が「体型がタイプ」であったため、同様に胸を揉んだ。

そして、同月31日午前5時ごろ、女性C(71)に同じ犯行をおこなった。

いずれの犯行も自転車で徘徊してターゲットを見つけ、すれ違いざまに乳房を揉んでそのまま逃走するという手口であり、Cさんは今でも自転車の音が怖いという。犯行現場はすべて八尾市内。

  • 男の凶悪な前科

男は通行中の女性を狙った強盗致傷で懲役7年に、その後に犯した強姦致傷でまたしても実刑に処せられた。2012年に仮釈放されている。

内妻ができ、おだやかな生活を送れていた男だったが、2年前にその内妻が病死。歯止めのひとつを失ってしまう。家族とも音信不通で自暴自棄になったという彼は、ついに本件犯行に至ってしまった。仕事はクビになり、家は引き払っているため現在は住所不定、また貯金が無いため金銭的な弁償もままならないという。

  • 更生プログラムは機能しなかったのか

いきなり私の話をして申し訳ないのだが、どうも取材していて、国がまったく性犯罪者の再犯防止策に本腰を入れていないことが判明した。5年後、できればもっと早くに本にしたいと考えているので、これだけ性犯罪ばかり傍聴しているのはかなり真面目な理由があることをわかっていただきたい。

話を戻して本件だが、強姦致傷での収監中にまったく性犯罪の更生プログラムを受けなかったという。現在でいうところの強制性交といえば性犯罪の極致であるところは異論が無いだろう。それなら誰に更生プログラムを受けさせるのか。

仮釈放され、その保護観察中に初めてプログラムを受けたといい、女性が怖い思いをするのはわかっていたが、自分を抑えきれず、捕まってほっとしたと男は語った。

  • 一部執行猶予を要望

最近の改正で、刑の一部執行猶予というのが導入された。どういうことかというと、「懲役3年にしたいけど2年だけ実刑にして、あとの1年は出所してからの執行猶予期間2年を無事に終えたらチャラにしてあげるね」という、おそらく薬物中毒者を念頭に置いた取り組みである。

男は、弁護士との話を通じて様々な(民間の)更生プログラムの存在を知れたといい、裁判長に保護観察付きの一部執行猶予を求めた。これに対して裁判長はかなり丁寧にデメリットを説明した。というのも例えば、「懲役2年のうちの1年の執行を3年猶予する」ということになれば、2年の拘束が倍の4年の拘束ということになる。(社会内外の別は置いておくとして)

  • 結果

検察側は自転車を使ってすぐに逃走するという手口を狡猾と非難。被害者の処罰感情も強く常習性がみられることから、懲役2年6ヶ月を求刑した。

対して弁護側は、着衣の上から一度揉んだだけなので悪質性としては軽微。更生意欲があることから被告人の主張通り、保護観察付きの一部執行猶予を求めた。

判決は、懲役2年(未決勾留日数90日算入)であった。

理由として、わいせつ性が高くはないが1ヶ月足らずで3件もの犯行に及んでおり、いずれも通行中の女性を狙ったもので悪質性が高い。出所後7年足らずでの犯行は強い非難に値する。また、保護観察付き一部執行猶予については、更生の意欲を認めたものの、居住地がなく監督者がいないため付すことができない。という内容だった。

(※わいせつ性が高くない、について眉をひそめた方がいると思うが、強制わいせつ罪には陰部に手指を挿入することも含まれるため、それと比較して高くないと言ってるので、決して軽いとみなしているわけではないです。)